企業会計原則の話の第7弾です。
企業会計原則は性善説に基づき、公明正大で真実の企業の財政状態、経営成績の開示を要請しているものですが、適正なルールに基づいて開示しても一定の要件という複数の選択肢を準備しているため企業側の恣意性がはたらくことにより、客観性・合理性を損ねる可能性は否めません。そこで前回の継続性の原則、そして今回ご紹介する保守主義の原則にて、恣意性の排除を要請すべく性悪説のエッセンスが取りこまれたものになっています。
保守主義の原則
企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。
端的に言うと、企業の将来的リスクを見据えて厳密に実体を開示するより少し利益を控えめに計算して内部留保をしっかりと行うことを要請しているのです。一般的には、引当金がこの保守主義の原則に基づいて実施される最たる例です。さらには制度上においては、減価償却の定率法(原則はすべて定額法)、期末棚卸資産の評価における低価法など法制度化にもしっかりと反映されているのです。
企業は様々なステークホルダーからの評価が気になります。企業経営を円滑に進めるためには当然、高い評価を欲することになるのは自明の理です。直接金融資本を獲得するための株式の配当原資、社債等の償還原資、間接金融資本調達のための返済原資、いずれにおいても財務基盤の脆弱性を露呈するよりも将来性も含めて財政状態、経営成績を良く見せたくなるものです。
この部分が実体よりも過大に開示すると様々なステークホルダーの判断を誤らせ、ステークホルダーの利益を損ね結果的には企業そのものの存続さえも危めるようになります。一般的に馴染なのは粉飾決算が最たる例で、これはこの保守主義の原則にはっきりと抵触しています。
企業会計原則では法的強制力がないので粉飾決算を認めないという要請はできても罰することはできませんが、そこは会社法において債権者、金融商品取引法において投資家、言うなれば全てのステークホルダーの権利、利益を保全すべくための法制度がきちんと整っています。
最後に保守主義の原則が性悪説のエッセンスが取りこまれたものとしてもうひとつ重要な要請があります。つまりは過度な保守主義は企業の真実な報告を歪めるものとして禁止しています。租税回避行為、返済原資の過少報告、配当原資、社債償還原資の過少報告、こちらもステークホルダーの利益を損ねるものとしてしっかりと布石を打っているのです。
2013年06月06日
企業会計のリスクコントロール〜保守主義の原則
posted by core at 06:00
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