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2013年06月03日

会計から時事問題を説く〜原発廃炉について

先週から、企業会計原則についてシリーズで綴っています。

内容があまりにも専門的で、ブロークンな内容でもないために実にこの稿のアクセスがみるみるうちに下がりました。



5月31日は、月末、週末ということも重なりここ数年では見たことのない辛うじて100件を超える当ブログの平均的なアクセス数の65%程にまでなりました・・・



皆様の興味を惹くような内容を提供できていないのは、小職の責によるところが大きいのですが企業会計原則のシリーズが終了するまえに、このシリーズを綴った主旨になるような時事問題が出てきましたので、シリーズを中座して綴ります。



会計の観点から様々な時事問題を説くというテーマで財務コンサルタントならではの内容提供を行う準備をしていました。そのための予備知識として企業会計原則を説いていたのです。



6月1日、経済産業省が原子力発電所の廃炉を進めやすくするため、電力会社の会計規則を見直す方針を固めたという新聞報道がありました。



見出しは私たち一般消費者にとっては非常にインパクトのあるものです。



『原発廃炉 利用者が負担』



国のエネルギー政策の失敗を私たちに負担させるのか!!!



行政や各電力会社に対して恨みごとを言いたくなるような見出しですよね。



結論から言うとその通りなのですが、企業会計もっと平たく言えば、世の中の経済活動においては当然のことであり、本来は私たちが憤ることではないのです。



まあ、納得は行かないでしょうが企業会計の観点からご説明しましょう。



そもそもの電力会社の成り立ちはこの際、棚に上げます。ちょっと論点がすり替わる可能性がありますので・・・



まずは企業会計における資本利益区別の原則をおさらいします。→こちらをクリック


原子力発電所がどのような事情であり、廃炉になることが正式に決定すれば多大なるコストがかかります。しかしながらその廃炉コストを負担すべき資本は、元手である拠出資本の資本金からではなく、運用益である留保資本から行うのは企業経営においては当然のことです。



今回のケースはこの廃炉を行う場合のコストが膨大なることから生じています。金銭的なコストだけでなく時間的なタイムコストもかかります。仮に廃炉が正式に決定すると日本の電力会社で廃炉の積立不足が1.2兆円、設備や核燃料の除却損で3.2兆円、実に4.4兆円にもなる損失が確定することになります。



東京電力をはじめとして6電力会社、つまりは電力会社の6割が債務超過に陥ってしまいます。



ここで廃炉コストの負担の問題に戻ります。



本来、留保資本つまりは今までの運用益でこの廃炉コストを負担するとしても明らかに準備不足なわけですから、留保資本を全て取り崩します。それでも足りないのであれば拠出資本である元手にまで浸食するのも当然なのですが、このような事態で債務超過にまで陥れば、元々この電力会社は上場企業でもあり、市場の健全性から鑑みると、投資家保護の観点より金融商品取引法、そして債権者保護の観点より会社法、それぞれのステークホルダーを保護するために法的エクスキューズがあり、それが市場の安定のためでもあるので廃炉ありきのうえで会計規則を見直す方針を固めたのです。



そうです。電力会社に直接携わるステークホルダー保護のために電力利用者の電気料金を値上げすることで直接の負担を強いるのです。



しかしこれは表現のあやで、一般企業も物品販売、役務の提供で採算が合わなくなれば値上げすることは自明の理です。消費者が受け入れるか?受け入れないか?というのは別の問題であります。



ただ電気は、社会的インフラであり生活必需品なのです。しかも供給する側は一部のPPSを除くと主要電力会社のみになり特に一般消費者にいたっては選択支は皆無です。つまりは値上げしてもそこに異議を申し立てて需給を拒否する人は皆無と言っていいでしょう。そこは確かに問題です。



廃炉も私たちの総意ならば、電気料金の値上げを受け入れざるえないのは企業会計でいうと留保資本が原資となるからです。仮に拠出資本から賄うとしても電力会社が破綻しないように国が資金的支援をするとしたら公金からの支援になるため結果的には増税等で私たちが賄うことになります。悲しいけど袋小路に追い込まれているようなのものです。



次にこの問題でもう一点、廃炉の損失処理を分割で行うという問題です。従来は廃炉費用はすでに随時積立しているので電気料金に含まれているものです。しかしながら今回のように緊急的に廃炉が決定した場合、前述のように廃炉費用の積立不足の問題が生じ、電気料金の値上げでその費用負担を利用者に将来的に負担してもらう予定だったのを”前倒し”でさせることになります。



言うなれば、金融機関が不良債権になりそうな場合に引当金を緊急で積み増すようなものです。



このような緊急的な利用者への負担を軽減させるために、廃炉費用を複数年でなだらかにすることが併せて検討されています。



つまりは、企業会計に基づく留保資本の取り崩しを適正に行うという前提で、投資家、債権者の保護を切り口にして論点をテーブルに乗せながら、一方で利用者(一般消費者)という一番影響が多いステークホルダーのことも鑑みて企業会計の原則を崩してまで新しい方針の検討も同時に行っているのです。



ここは、企業会計原則の大原則に反することになります。→こちらをクリック



真実の財政状態、経営成績の報告義務ということからは全く逆の事実を歪めて開示することを要請することになります。しかしながら、一般消費者の費用負担を回避するという客観的・合理的な観点が法律で保護しようとしている投資家、債権者を結果的には守ることにも繋がるスーパースキームでもあるのです。



経済産業省は、企業会計にとって、そして全てのステークホルダーにとっても偉大なる対応策を講じようとしているのですが・・・



『原発廃炉 利用者が負担』



このような見出しだったら、内容をよく見ない一般消費者(こちらが大半でしょう)だったら、政府は何を考えているのだ!!!電力会社はふざけている!!!なんて単純に怒りの矛先が向かうだけです。



私の結論、誤解をまねくような紙面での発信は慎むべきです。



私見としては今回の検討内容は画期的です。
posted by core at 06:00 | Comment(0) | 会計
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