企業経営における与信管理は生命線です。現金商売ならば大きな影響はありませんが、一般の商取引においては債権、債務の回収、支払には必ずサイトがあります。
つまりは、商品の納品、役務の提供から一定の期間を経てその代金の決済が行われるということです。
与信の意味とは、読んで字の如く、信用を与えるという意味です。つまりは、取引先を信用したうえで回収、支払のサイトをお互いの合意のもとで持ちましょうということです。
条件通りに履行されるかどうかをモニタリングすることが、冒頭のタイトルにある与信管理ということになります。
商売の基本は人と人とのお付き合いがベースになりますが、そのお付き合いの度合いはそれぞれで、一度しかお会いしたこともない方もいれば、一度もお会いしたことがない方もいます。全くその逆で旧知の間柄ということもあります。
飲食店等が基本的に現金商売であるのかというのは、与信の原則を考えれば理由は明解で一見さんの取引が多いからです。サイトを持ってしまうと貸し倒れてしまうリスクが非常に高くなるからです。勿論、繰り返しそのお店に行くことで常連になれば与信がついて店主の裁量で支払にサイトをつけてくれる場合もあります。いわゆるツケですね。
さて、ここでサイトを持った債権者の最大のリスク、皆様もお解りのようには貸し倒れです。
商品、役務の提供は完了しているのに代金が回収できない・・・損のレバレッジで経営には二重の打撃を与えます。支払はしなければならない、回収はできない、結果的に仕入先等に支払を待ってもらうようなことになれば他の取引先の信用も失います。
年間に100万円の利益がでる企業が、100万円の貸し倒れが発生したとしたら単純計算でも取り返すのに1年かかります。しかしながら、貸し倒れなので実際は取り返していません・・・資金をドローにするのに1年を要するのです。利益と債権のバランスを鑑みれば貸し倒れの企業経営に係るリスクの大きさは容易に想像できると思います。
だからこそ与信管理は重要なのです。
企業防衛の生命線とも言えます。
そして、この与信管理の落とし穴が、信用の担保である人の部分になります。解り易く申し上げると、知り合いからの紹介というケースが一番、貸し倒れリスクが高いのです。
この場合の知り合いは多岐にわたるので、ここではひとくくりにしますが紹介だからどこかで「この取引は大丈夫だろう・・・」という甘え、油断が生じ結果的には貸し倒れに繋がっていくのです。
新規開拓先、新規取引先は与信を与えるうえでの調査、その後のモニタリングの慎重かつ綿密に行うので、リスク生じそうな時も債権を引き上げる決断は早く、貸し倒れ時の金額も少額に抑えられるケースの方が多いのです。
信用取引から取引の増大を計り、企業を大きく強くしていくのですが、その対のリスクとして債権リスクが増大します。与信管理は企業経営における生命線と言えるので、これは企業の管理部門の強化のみならず、販売部門の意識、業態管理の徹底は必須です。
営業マンの(ルートセールス)御用聞き、これは次の注文を取るために取引先に足を運んでいるのではなく、企業の経営状況をモニタリングする業態管理の意味合いが強いということをより組織で徹底させるべきです。
業態管理ができない相手先とは取引をしない、これもビジネスのリスクヘッジとしてはセオリー中のセオリーですね。
2012年04月12日
与信管理の落とし穴
posted by core at 06:00
| Comment(0)
| コンサルタントとして
この記事へのコメント
コメントを書く