昨今は世界のフラット化により、日本企業のビジネス慣習も欧米スタイルに変わってきているところが増えています。
楽天グループ、ファーストリテイリングの公用語が英語になっていることは皆様もご存じですよね。
日本企業の社長が外国人であるということも珍しくなくなりました。
しかしながら、今なおビジネス慣習が日本独自のものである部分はたくさんあります。それは日本という国の文化に由るところが多く、それは趣があり非常に良い部分もありますが、やはり今の時代にそぐわない部分もあります。
しかしながら、本日の稿はそれも含めて我が国の文化でありビジネス慣習なのでそれを変えて行きましょうという主旨のものではないということを事前にお伝えしておきます。
ビジネスが成立するうえでの入り口になるもの、取引が成立して継続して取引をする上での様々な約束事を明文化したものが『契約書』です。この『契約書』が我が国と、欧米のものが大きく違うことはあまりにも有名です。
日本ではA4用紙一枚で済むような契約書も、欧米企業間との契約では様々な状況を想定してその場合の決めごとをこと細かく明文化してその書類は100ページ以上に及ぶなんてことはざらです。
勿論、契約違反となれば裁判文化の欧米ではすぐに訴訟問題にもなります。
何故、そのようになるのか?
日本は単一民族国家のため、そして物事をはっきりとしないことが奥ゆかしさ、情緒感、わびさびの文化、つまりはあいまいの美徳というものが根付いています。そして何よりも無条件に他人を信用するという単一民族国家特有の文化があります。
通称『おにぎり文化』と言われていますが、見ず知らずの他人が素手で握ったおにぎりを何の違和感もなく口にすることができるのは世界中でも非常に珍しいのです。
このことが何かあったときに、お互い誠意を持って対処しましょうという『先送りの慣習』にも繋がっているのです。今、我が国の政治、経済の問題はほとんどがこの部分に起因していますよね。
逆に欧米が何故このように細かくするかというと日本の反対で多民族国家であるということに起因するところが多いのです。言語も習慣も違う人々がひとつの国家コミュニティの中で生活するわけですから、歴史の中から繰り返し生じた問題を事前に明確にしておくということが必然的に習慣化されていったのです。
『契約書』はさておき、人間の信頼関係について日本文化をベースに鑑みると、やはりいまだに明文化していない方がお互いの取引が円滑に進む場合が多々あるということは否めません。
しかしながら欧米スタイルのビジネス慣習の方が明らかに優れているものが『契約書』ではないものにあります。
『マニュアル』です。
これは前述のように言語、習慣が違う人々が合理的、効率的に業務を行うようにできるためには非常に細かい『マニュアル』がないとできなかったのです。
これはよく仕事の場で「機転を利かす」ことができる従業員が優秀であることは間違いないのですが、多民族国家の欧米では機転を利かしても伝わらない、そしてそれを実行できないことが多々あったのです。その結果がマニュアルの充実に繋がっていきました。
今回お伝えしたかったことは、組織の慣習は必ずその組織を構成する人々の文化によるところが大きいということです。中小企業で言うならば、一番の責任と権限がある経営者の価値観、慣習に大きく左右されるということです。
つまりは組織を変えるためにはリーダーが実践しないと変わらないという逆説的な極論であります。
中小企業においては、いささか強引なロジックでありますが、これこそが本質でありビジネス慣習、文化はリーダー(経営者)が作るということになるのではないでしょうか?
勿論、我が国が今抱えている問題もリーダー不在ですよね・・・その原因は実はこの国に根付いたものであり、果たして今後もクリアできるのでしょうか?
これは欧米文化が交じり様々な慣習がフラット化していることにもよるのではないでしょうか・・・
2012年04月09日
ビジネス慣習は文化との因果関係がある
posted by core at 06:00
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