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2010年11月24日

選手は商品

先日の稿でJリーグを題材にスポーツビジネスの難しさ を検証しましたが、日本人のスポーツビジネスに対する認識の甘さを露呈したニュースがまたありました。

東北楽天ゴールデンイーグルスのエースであり、日本を代表する投手といっても過言ではない岩隈投手がポスティングシステムを利用して米メジャーリーグへの移籍が実現に向けて進んでいたのですがここにきて交渉が暗礁に乗り上げたという報道がされています。

さて、ここでも日本の報道では岩隈投手側への同情的な見解が相次いでおり、獲得予定球団であるアスレチックスへの批判報道が続いていますが果たしてそうでしょうか?

アスレチックス批判の骨子は次の2点だと思います。
@ 岩隈投手に対する評価の低さ(年棒は現状と変わらない)
A 最初から獲得の意向はなかったものの、同リーグ同地区のレンジャーズが獲得を表明していたためその阻止が目的だったため

前述の2点の認識からか、岩隈投手側の見解をご紹介しましょう。

まずは岩隈投手のコメント
「考えられないことだけど…。ビジネス的なことは代理人に任せている。自分が交渉に入っているわけじゃないんで、何とも言えません。」

「僕自身は、お金の問題じゃないです。(ア軍との交渉が)これで終わってしまうなら、必要とされていないのかと思ってしまう。」

正直、このコメントは自分の意思で言ったのか代理人にこのように言うように指示されたのかはわかりませんが認識が甘いとしかいいようがありません。

まずはアメリカのスポーツビジネスにおいて選手は商品です。選手獲得には球団ビジネスにおける貢献度を予測して費用対効果の原則からいわゆる年棒をはじき出します。その貢献度合いは様々で、純粋な勝利への貢献、キャラクター知名度によるグッズ収入及び観客動員への貢献見込などその評価基準は様々です。

今回のポスティングシステムは岩隈投手への年棒(4年12億円)以外にも移籍金15億円も発生するのです。4年間の27億円に対する費用対効果で考えると決して悪い条件ではないはずです。

そもそもお金が問題ではないのならば入札後、条件提示を受けてすぐ受諾できるはずです。

岩隈投手、ポスティングを表明したときにお世話になった球団への恩返しに入札金額が球団に入るこの制度を利用するとはっきりと言いました。ここで一転残留になれば楽天球団にしたら入札金額の15億円が入らず、変わりに岩隈投手の年棒3億円が新たに発生しますから18億円も資金計画が変わります。

岩隈投手側が年棒の低さの比較対象に出しているのが2006年にポスティング制度で移籍した松坂投手(年棒10億円、入札額60億円)、先頃1年契約でドジャースへの残留を決めた黒田投手(年棒10億円)のようです。

まず、松坂投手がポスティングした年は2006年、いわゆるリーマン・ショック前です。社会情勢が現在とはあまりにもかけ離れています。実力が同等だとしても社会情勢、そして前述のキャラクター知名度は岩隈投手には申し訳ないですが比較対象にもなりません。

さらには黒田投手、ドジャースの3年間ローテーションを守り続け27勝を上げています。メジャーリーグの評価も投手20傑にランクインする高評価です。日本での実績はともかく先頃は井川投手の例もありますから日本での実績で評価しないのは当然でしょう。

かつて新庄剛志選手は阪神が提示した5年12億円の条件を蹴って、年棒2,200万円のニューヨークメッツに移籍しました。実に10分の1以下の評価です。それでも彼は「自分の夢であり、自分に合った野球環境を見つけた」と言って意気揚々と移籍していきました。



岩隈投手、メジャー移籍は夢と言っていましたよね?



評価は社会情勢、費用対効果で考えたら決して低いとは思いませんよ。年棒交渉のうえでの比較対象基準の提示はビジネスの商談ツールとしてはあまりにも甘すぎます。そこには日本人プロ野球選手としての共通項しかありません。メジャーリーグ及びアメリカのビジネスに携わっている人たちからすれば失笑されていますよ・・・。



交渉はビジネスです。選手は商品です。評価は自己が行うものではなく、他者が行うものです。



岩隈投手、今回あなたはいったい何が目的だったのですか?お金だけだったのではないでしょうか?でも社会情勢、自己の商品価値を全く見誤っていたのではないでしょうか?



やはりビジネスは難しいのです・・・
posted by core at 06:00 | Comment(0) | ビジネス
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