現代経営学のバイブルとも言える名著、「ビジョナリーカンパニー」の著者であるジェームズ・C・コリンズ氏は、企業衰退の五段階のなかでも衰退に抗うためのコリンズ五訓なるものを説かれ企業経営の羅針盤としてあるべき姿を指し示されています。
答えはいつも「社内」にある
コリンズ氏は企業衰退の原因をかつてのライジングジャパンの象徴でもあったソニーを実例として出して非常に解り易く説かれています。
ソニーの「ウォークマン」は「いつでも、どこでも、自由に音楽が聴きたい」という素朴な動機が出発点だった。それを実現させるために物を作った、つまりは素朴な動機による自己欲求解決型で生まれている。最近のソニーに元気がないとすればいつでも音楽が聴きたい、どうすれば自己欲求を満たせるのか。そう考える者たちが目を覚ませばソニーは本来の輝きを取り戻すだろう。
社内という言葉を自己に置き換えてみてはいかが
でしょうか?
自分が必要と思うもの、自分の嗜好を満たすものを実現させること、ややもすれば自己欲求解決という自己本位に取られがちですが、自分が欲するものは他の人も欲しているものなのです。それが市場を形成し文化を生み出していくものになります。
受け入れられないものは消えては行きますが、生み出されない限り市場から受け入れられるかもわかりません。失敗を恐れていては何も生み出せないのです。
大勢に受け入れられなくてもニッチなものとして存続できる可能性もあります。ニッチが突然メジャーになることもあり得るのです。
成功を疑い、成功を恐れよ
コリンズ氏の衰退に抗うための五訓の最初の訓です。裏を返せば、失敗を失敗と思わずに、失敗に恐れることなく立ち向かうことを忘れたときから衰退がはじまるとも解釈できます。
リスクを取り、困難に挑戦することから逃げ出してはならない。しかし、成長と持続と加速を求める社内外からのプレッシャーに屈して、闇雲に規模の拡大を目指したり、無謀な賭けに出たりすることは避けるべきだ。厳しい規律を持たなければ、成長を長く持続させることは難しい。
中国の唐時代、名君と名高い第2代皇帝の太宗が説かれた言行録である“貞観政要”、1,400
年の時を経た現在も守勢経営のバイブルとして取り上げられています。攻めるは易し守は難し、コリンズ氏も同じことを説かれているのです。
革新は原点回帰により生まれる、敵は己の中にある、つまりは答えが「社内」にあるということは如いては全ての原因は自己にあるということを説かれているのでしょう。
2010年10月19日
栄枯盛衰〜Vol.4答えはいつも「社内」にある
posted by core at 06:00
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