通称J-SOX、金融商品取引法です。2008年4月1日以降開始事情年度より上場企業は内部統制報告制度が導入されました。度重なる企業不祥事から成立したアメリカのSOX法を基に同制度の日本版として企業活動の“監視”を目的としたものです。
この制度は、いわゆる“監視”を目的としたシステムです。従って内部統制制度を正しく機能させるうえで非常に重要なものは経営者となります。故に経営者が進んでモラル・ハザード(倫理の欠如)を実践するとこのシステムは無に帰します。
どれだけ膨大なコストをかけて導入しても絶対的な保証は得られず、合理的な保証しか得られないのです。
2008年7月19日アップの当BLOG 「内部統制の負の連鎖」でご紹介していた事例が、身近な福岡証券取引所でもJ-SOX元年から早速起こりました。
学習塾の全教研、J-SOX元年を終える直前の3月21日にMBOを実施して上場を廃止したのです。中垣一明社長は以下のように語っています。
「2007年ぐらいからだ。上場維持コストの増加や株価の下落もあり、上場の利点と欠点を考え始めた。直接のきっかけとなったのは全上場企業に課せられた内部統制報告制度の導入だ。内部体制の見直しに伴い、社員の塾講師が書類を作る時間が増え、生徒や保護者に割く時間が減った。このため社員から不満の声が上がっていた」【2009年3月28日:日本経済新聞33面より抜粋】
さらに日経ビジネス2009年3月30日号の時代超流には「監査倒産」なる衝撃的な記事がありました。ある日本公認会計士協会の幹部がおっしゃるには今後の上場企業に「監査法人から監査意見を得られず、“突然死”する例が頻発する」というのです。何とも恐ろしいコメントです。
監査にはゴーイングコンサーンという項目があります。監査の前提として、企業がその後にわたって存続し続けるかどうかを検証するもので、それに疑問がある場合には監査報告書にその旨が記載されるのです。
上場企業の場合、監査意見が不表明となった場合(この場合、ゴーイングコンサーンに疑問が持たれ監査報告書にその旨が記載される)それだけで企業の信用には大きなダメージになります。
経営破綻が起きた時の、市場の監査法人に対する責任追及の目はより厳しくなっているのが現状です。監査法人が厳格な対応を取って来るのは明白です。
監査報告書の期限は6月末です。後、3ヶ月、市場動向はますます目が離せません。
J-SOX元年はまだ終わっていませんね・・・
2009年04月01日
J-SOX元年を終えて
posted by core at 06:00
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