深夜のことです。懐かしい感覚があったのです。“ギュルギュル”お腹が鳴ったような気がしました。2度の開腹手術、特に2度目は8時間半に及ぶバイパス施工術、かれこれ最初に腸閉塞になってから1ヶ月以上は経過していました。当然その間は飲まず食わず、感染症になり栄養を体内に取るためのルートが外されており、腕の静脈から点滴を注入していました。これは通常の人が1日に必要な栄養の3分の1程しか栄養を注入できないらしく、体重は日々減っており、入院時と比較すると13kgは落ちていたと思います。深夜にお腹が“ギュルギュル”なった翌朝です。ガスが出たのです!!当直の看護師さんが朝6時の巡回に来られました。「ガスが出ましたよ!!」「U先生に報告しときますね!!」看護師さんにも喜んでいただけました。昼過ぎにU先生が病室に顔を出され「よかったですね!!その後も何回かでましたか!?」「出ましたよ!!今もしたいです」
ここからは、急展開でした。翌日には造影検査を行い、イレウスチューブをバイパス箇所の部分まで引き上げ体の中に入っているチューブの長さは最大時の3分の2ぐらいまでにしたそうです。数日後に再度造影検査を行い、腸閉塞がないことが確認できるとチューブは相変わらず鼻から入ったままですが、遂に水分許可がでました。「今日は200ccまでですけど、どうもなければ明日は好きなだけどうぞ!」満面の笑みでU医師に言われました。
お見舞いに来ていた妻と検査結果を聞いて、30分は涙が止まりませんでした。「少しは人間らしい生活に戻れる。」検査後のミネラルウォーターのおいしかったこと、この感動はとてもこの場では伝えられません。それから3日後には、何とイレウスチューブが入ったままで流動食が開始となりました。喉にもチューブが通っているので、味噌汁の飲みこみにくいこと。しっかり咀嚼していましたが、若干の固形物も喉を通る時の異物感は強烈でした。
5月10日だったと思います。食事がはじまって3日程だったでしょうか?病室で本を読んでいたら、突然U医師が来られて、「イレウスチューブはずしましょう!」と言われて造影検査室に連れていかれました。あっという間の出来事でした。1ヶ月以上のイレウスチューブが入った生活は何の予告もなく突然終わりを告げたのです。信じられない開放感!?
記念に直前に携帯電話で取った写真です。髪はのび方第、鼻から挿入されているイレウスチューブが痛々しい限りです。やせ細って眼鏡が下がってきています。直後に妻に連絡しました。その日は入れ替わり立ち替わりいろいろな方がお見舞いに駆けつけてくれました。
お見舞いに来てくれた妻に、定期的に洗髪してもらっていたのですが、この日はチューブが取れた直後に自分で洗髪しました。
妻もお見舞いに来てびっくりしていました。「突然やったね」サプライズ、悲痛なサプライズは何度も経験していましたが、病気発覚後、感動的なサプライズは初めてだったのではないでしょうか?うきうきした感覚なんて忘れていましたが、この日はまさにそういう日だったのです。
つづく


